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BitSharesとOpenLedgerの違い

ビットコイン2.0の一つに分散型取引所などで有名なBitSharesというものがあり、このBitSharesを利用したOpenLedgerとしばしば混同されることがあります。OpenLedgerはBitSharesのプロトコルを利用している、というような説明はよく見ますが、具体的にはっきりと書かれている情報が英語ソースを見渡してもなかなかないので説明してみたいと思います。

大きく分けるとOpenLedgerには以下の4つの役割があります。

最初にまとめると

(BitSharesのブロックチェーン)←①APIサーバー(+②faucetサーバー)←③ウォレットのホスティングサービス

という階層構造になっています。

①APIサーバー

APIとは、IT用語辞典(e-Words)によれば

あるコンピュータプログラムソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと。 

 という意味です。

BitSharesとOpenLedgerとの関係でいえば、BitSharesのブロックチェーン情報を読み込んだり機能を利用するための媒介として作用しているのがOpenLedgerです。ビットコインに詳しい人にわかりやすく説明すると、APIサーバーとはブロックチェーン情報をすべて保管しているフルノードであり、ユーザーにブロックチェーン情報を受け渡す役割を果たしているフルノードのことをBitSharesではAPIサーバーと呼んでいます。

ブロックチェーンを保存しているノードはOpenLedgerだけではなく、ビットコインにおけるminerにあたるwitnessと呼ばれる取引の承認者もフルノードにあたるため、必ずしもフルノード=APIサーバーというわけではありません。

現在、このAPIサーバーは4つあり、OpenLedgerを介さずとも他の3つのどのサーバーからもBitSharesのブロックチェーン情報を参照して機能をすべて利用することができます。もちろん自前でブロックチェーンをダウンロードして、外部サーバーに頼らず簡単にBitSharesを利用することもできます。(ただし、現在のBitSharesのブロックチェーンのサイズは既に60GBオーバーで、ビットコインを超える勢いのため、おすすめはできません。)

4つあるものの、本格的にビジネスとして行っているのがOpenLedgerだけなので、一番有名なのがOpenLedgerでありBitSharesのコミュニティもOpenLedgerを最も強く推しているというだけの話なのです。

②faucetサーバー

faucet(蛇口)という言葉はビットコインをやっている一部の人にはなじみのある言葉だと思います。OpenLedgerは利用者に無償でBTS(BitSharesの基軸通貨)を配ってくれるfaucetと呼ばれるサーバーの役割も果たしています。ただし、ビットコイン等のfaucetと同様、当然無制限に配ってくれるわけではありません。

実は、BitSharesではアカウント(アドレス)を作成するのに手数料(現在約3BTS)がかかります。アカウントの新規作成者はBTSを持っていないので、OpenLedgerが肩代わりしてあげようということです。この代理登録のような役割をfaucetサーバーと呼んでいます。

それでは、大赤字になってしまうと思う人もいるかもしれません。しかし、BitSharesにはアフィリエイトシステムがあり、faucetサーバーに登録料を負担してもらう代わりに、送金手数料などネットワークの利用手数料の一部を登録してもらったfaucetサーバーに支払うこととなっているので、OpenLedgerの収益の一部にもなり得ます。

①のAPIサーバーは現在計4つあると書きましたが、APIサーバーはほとんどの場合faucetサーバーも兼務しており、OpenLedgerを介さず登録することも可能です。

③ウォレットのホスティングサービス

3つ目がウォレットのホスティングサービスです。言い換えればウェブウォレットの運用と言ってもいいでしょう。これもAPIサーバーと同じところが提供しており、OpenLedgerも含めて現在4つのウェブウォレットを利用することができます。

とはいえ、このホスティングサービスはAPIサーバーとは別物なので、ウェブウォレットを利用せずともLightウォレットというPC用ウォレットを利用して直接APIサーバー→ブロックチェーンに接続することができます。ブロックチェーン情報は保管していないので、HDD容量などを大量消費しないいわゆる軽量ウォレットです。

自分自身でもこのLightウォレットを利用しており、ウェブウォレットの最近の状況はよくわからないのですが、どうやらOpenLedgerはアクセス集中などで非常に重かったり開けなかったりという事例が多くあるようです。しかし、当然APIサーバーとウェブウォレットのサーバーは別にされているようで、OpenLedgerのウェブウォレットが重くなってもOpenLedgerのAPIサーバーはあまり重くなることはありませんし、重くなってもOpenLedger以外のAPIサーバーを選択することができます。

アフィリエイトシステム(Referer付きリンクからウェブウォレットを紹介すると紹介者に手数料の一部が収入として得られる)のせいか、OpenLedger(BitShares)を紹介しているサイトやブログでは、Lightウォレットはほとんど紹介されず、ウェブウォレットのOpenLedgerしか紹介されていませんが、PCの利用者はより安定しているLightウォレットを使用することをおすすめしたいです。

ただし、ウェブウォレットがすべて悪かというとそういうわけでもなく、コンピューターにインストールすることなく手軽に使用できますし、バージョンアップがあっても自動的に更新してくれるので便利です。Lightウォレットは自分で更新状況をチェックしてバージョンアップしないといけないので、基本的にはヘビーユーザー向けで、試してみよう程度の方はとりあえずウェブウォレットの方が良いと思います。

④その他(ゲートウェイ機能など)

以上の3つが主な役割であり、3つの役割でBitSharesの機能をすべて利用できると言っていいでしょう。

とはいえ、OpenLedgerはビジネスとして行っている営利企業で、他にもOBITSと呼ばれる独自のトークン(通貨)を発行していたり、BitSharesを利用する他のプロジェクトにも積極的に関わっていたりします。(その他に分類していますが、ここがOpenLedgerの特色を出せるメインのビジネス分野といってもいいかもしれません。)その一つで混乱しやすいのが「IOU」という独自通貨の発行です。

IOUの発行はOpenLedger以外にもMetaExchangeやBlockTradesという仮想通貨交換所も行っています。

SmartCoinとIOUの違い

BitSharesで有名なものの一つにSmartCoinというものがあります。これは、BTSが価値の担保となっている価格連動・固定型のコインです。例えば1BTCの価格を保ち続けるbitBTCや1ドルの価格を保ち続けるbitUSDなどがあります。SmartCoinはBitSharesがシステムとして構築しているコインであり、OpenLedgerは一切ノータッチと言っていいです。

代わりにOpenLedgerが発行しているのが、IOUと呼ばれるOPEN.BTCやOPEN.USDなどです。IOUというのは、Rippleについて知識がある人は馴染みがあると思いますが、RippleのIOUとほとんど全く同じと言っていいシステムのもので、発行者が価値を担保している価格連動型のコインです。そのため、OpenLedger(OpenLedgerを運営するCCEDK社)が倒産したらOPEN.BTCやOPEN.USDは紙くずになってしまいます。

その代わりOpenLedgerは、IOUを使ってゲートウェイの役割も果たしています。このゲートウェイもRippleではお馴染みですが、IOUを実際の通貨に変換できる役割のことです。例えば1OPEN.BTCを実際の1BTCと交換、1OPEN.USDを実際の1USDと交換、というようなことを行っています。IOU発行はビジネスなので、IOUの分散型取引所上でのトレードには手数料が課され、その手数料がOpenLedgerの収益の一部となっています。

よく勘違いされますが、SmartCoinには、少なくとも現在のところこのようなゲートウェイ機能を提供しているところがなく、bitBTCを実際の1BTCと交換するというようなことは今のところできません。(bitCNYのみはTranswiserというところがゲートウェイになっているようです。)

 まとめ

このように本質的にBitSharesとOpenLedgerは別のものです。いろいろな意見があると思いますが、個人的にはOpenLedgerに頼りすぎているBitSharesの現状はあまり好ましいものではなく、BitSharesを利用する競合の企業がOpenLedger以外に出てくると、さらにBitSharesは一段ステップアップできるのではないかと思います。