Ethereumはなんかよくハードフォークしてるし、NEMはApostille出してCatapultっていうのを開発中らしいし、Nxtはとりあえず2.0(Ardor)待ちだし、CounterpartyはEVM(Ethereum Virtual Machine)をtestnetに実装したりpicopaymentsなんてものもあったな・・・。
そういえばBitSharesってどうなってるの?ということで、BTSの最新情報を発信をしている人が皆無なので現状をまとめておきたいと思います。
開発者が交代
BitSharesの開発者といえば兼創業者のbytemaster(Daniel Larimer)でしたが、昨年のはじめ頃から分散型RedditことSteemの開発に専念するようになり、BitSharesの開発からは完全に手を引きました。
彼はcryptonomex社という会社を立ち上げ、そのメンバーと共にBitSharesの開発を行っていましたが、cryptonomex社自体も開発を行わなくなり、現在は過去の開発チームのごく一部の人とBitShares Munichというドイツの会社が引き続き開発を行っています。
オープンソースで分散型なので、元々の開発チームが開発を完全に止めてしまってもネットワークが止まることはありませんし引き続き他の人が開発を行えるというのは強みといえるでしょう。
実際の開発状況は?
とはいえ、引き続き開発を行っているBitShares Munich社もウォレットなど主にフロントエンドの開発を行っており、バックエンドのプロトコルの改良等はほとんど手付かずの状態です。昨年の3月を最後にハードフォークを要するようなプロトコルのアップデートは行われていません。
フロントエンド自体に関しても、モバイルウォレットをリリースしたのは良いものの、セキュリティ上のバグにより数か月間停止状態になっていたり、bytemasterが最後に置き土産としてプロトコルに実装したStealth Transactionという匿名送金の機能がいまだにGUIウォレット上で実装されず・・・、というようにやや開発力には不安がある状況です。
暗号通貨の開発チームは、○○に支配されているとか分散されていないとかいった批判を受けることが良くありますが、小さいプロジェクトは個人・企業がある種強権的に開発を推し進めないと、開発がうまくすすまないという側面はあるような気がします。
ネットワークの状況
バックエンドの開発はあまり進んでいないものの、BitShares自体がまだまだ未完成なものかと言うと、分散型取引所としての完成度は十分高いと思われ、ネットワーク自体のトラブル等も特になくかなり安定した状態が続いています。価格はどん底まで落ちていますが、新規アカウントの作成数やトランザクション数は安定しており、分散型取引所の約定数は増加傾向にあります。
(画像はcryptofresh.comより)
関連プロジェクト
正直、BitSharesにもまだまだ課題があり、増加傾向にあるとはいえ分散型取引所の取引量がなかなか増えないことや、大きなアピールポイントであるはずの価格連動型トークンのSmartcoinsが実質的にほとんど利用されていないことなどに対する対策の提案も過去には活発になされていました。現在その開発も議論も停滞状態にあるのは大きなマイナスであることは間違いありませんが、現状を見るとBitSharesそのものよりも他の関連プロジェクトに引っ張り上げられるかたちに期待するしかないのかなあ、という印象です。
OpenLedger
BitSharesそのものとよく混同されやすいOpenLedger(過去記事参照)。同社が掲げているような分散型取引所、というよりはただのIOU発行企業なのですが、やはりBitSharesの強みはIOUではなくSmartcoinsのほうなので、ややインパクトに欠ける感じです。
あまり最近の状況を追い切れていないのでなんともいえないのですが、同社の分散型取引所ビジネスというよりはBitTeaserのようなさらにサイドのプロジェクトに期待したいです。
個人的にはICO連発、無駄?なトークン連発であまりいい印象がありませんが、継続してサービス提供してくれているので、APIサーバー、faucetサーバーとしての役割でBitSharesのインフラの安定には大きな役割を果たしているところです。
Peerplays
ブロックチェーンベースのゲームプラットフォーム。ブロックチェーン自体は全く別に立ち上げられていますが、BitSharesと同じGrapheneというプラットフォームを元にしているため、基本的システムからウォレットGUIまでほとんど一緒です。現在はじゃんけんゲームで相手に勝つと所持金(掛け金?)を貰えるような簡単なゲームだけtestnetに実装されています。
昨年一度ICOを行っており、今年近いうちにまた二度目のクラウドファンディング(ICO?)を行う予定のようです。BitShares関連の中では期待が高いように思えますが、過去の同様の関連プロジェクトは、DAC Play(旧BitShares Play)やMUSE(Peertracks、旧BitShares Music)をはじめとして、お金を集めたのにも関わらず全てのプロジェクトがほぼ音信不通で近況不明状態なので、コミュニティ外からの評判は良くなく去年のICOもあまり成功していません。
Steem
去年立ち上がった分散型SNSで時価総額3位に上り詰めたことで話題になりました。
(画像はsteemb.comより)
ユーザー数等の良いデータがあまり見つからなかったのですが、去年8月から見るとアクティブユーザー数は大きく減ったものの、11月頃からは下げ止まって現在はほとんど成長なしで横ばいという状況のようです。複雑なインフレの仕組みはとりあえず置いといて解決したと仮定したとしても、少なくともなかなか暗号通貨に対するリテラシーのある人でないと使う気にはならないと思うので、暗号通貨コミュニティ内で十分知られるようになった後の成長は、暗号通貨自体の一般層への普及がすすまないと厳しそうな感じです。
開発に関しては独自路線を進んでいるため(Graphene外の部分での機能拡張、新たにGraphene 2.0の開発を発表、Graphene 2.0はBitSharesに適用するメリットがどこまであるか不明等・・・)、Peerplaysほどは密接に結びついていませんが、SteemはBitSharesと同じくGrapheneを元にはしているので、Steemが成功すればBitSharesにもいい影響を与えられる可能性があります。