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技術に興味がある上級者向けの情報収集法~ビットコインはここが面白い

先月から今月にかけてBitcoin Cash誕生、Segwit実装、中国(+韓国)のICO・取引所規制、・・・と様々なニュースがありました。しかし、正直なところニュースの見出しを読むくらいで全然情報は追えておらず、こちらが教えてほしいくらいなので今日は時事とは関係ないちょっとマニアックな話でもしたいと思います。

ビットコインの(技術的な)情報収集のしやすさ

ビットコインが優れているところ、あるいは面白いところは、いろいろあるかと思いますが、個人的にある意味一番重要なのがこの情報収集のしやすさです。

オープンソース+開発者が多い+コミュニティが開放的

その理由は大前提としてオープンソースであること。そして他の暗号通貨との最も大きい違いは、開発者の多さとコミュニティが開放的であるということです。

オープンソースのプロジェクトは暗号通貨の世界では当たり前ですが、極端な話開発者が一人しかいなければ、どのようなコードを実装するかは開発者の脳内でしか議論が行われないわけで、その過程というのは第三者には全く分かりません。

対して開発者が非常に多いビットコインでは、必ずgithub上でpull requestの申請が行われ承認を受けた上で実装されますし、大きな変更を伴うようないわゆるBIPでは必ずメーリングリスト上で提案・議論が行われます。

また、ビットコインの主要開発者による定例のミーティングはすべて公開で行われ、その内容はすべて無料で公開されており、非常に透明性が高いものになっています。

コードを読む必要がない

インターネット上にすべて公開されているこれらの議論を読めばだれでも無料で最先端の技術情報を追えるので、情報収集をする側にとってはビットコインは圧倒的に優れていると感じます。

また、そのおかげもあって最先端で難しい内容以外にも初歩的でかつ詳細な情報もインターネット上で入手できるので、コードを読まないでも手軽にかなり深いところまで理解しやすいのが最もビットコインの面白いところです。

前提知識

前置きはこれぐらいにして、自分が行っている技術的な内容の情報収集法を書いていきたいと思います。

英語

残念ながら、まず英語を読める能力は必須です。情報が日本語よりも英語のほうが多いから・・・というよりも、根本的に議論はどうしても英語で行われるので、英語を使わざるを得ません。いくら今後日本語の情報が増えても、最先端の議論が世界中の人々により日本語で行われるぐらい日本語が世界中に広まらない限り、英語が必要なことは変わらないでしょう。

ビットコインの基礎知識

英語だけ出来ても、専門用語ばかりのビットコインは最初は正直訳が分からないと思います。

書籍

基礎知識を学ぶにはやっぱり本が一番安定でしょう。最近は、日本語でも技術的な内容が書かれた書籍が出ているようですが、全然読めておらずどれがいいか分からないので、今後、いろいろと読んでレビューでも書ければいいと思っています。とりあえず「Mastering Bitcoin」がよくまとまっているのでおすすめです。

ウェブサイト

書籍以外になるとインターネット上から情報を収集するしかありません。入門者向けの記事は日本語でもいくつかあるので、適当に探してもらえばよいかと思いますが、最も広く詳細にまとまっているのがBitcoin wikiです。中にはちょっと怪しかったり古い記事もありますが、wikiとは言ってもビットコインの開発者も編集していますので、誰が書いたか分からないようなそこらへんのサイトの説明記事よりは十分信頼できるかと思います。

個人的にも、ビットコインを調べ始めた当時は書籍が皆無でインターネット上で調べるしかなかったので、このBitcoin wikiを中心に、補完的にbitcointalkやIRCで詳しい人やコア開発者の話を見たり聞いたりして、いろいろ基礎知識を覚えていきました。

情報収集場所

本題の情報収集場所について。最新の議論が行われていますが、毎日のように見ているとキリがないので、気になった話題についてまとまって時間がある時に見るくらいです。誰よりも早く常に最先端の情報を入手したいとかでなければ、普段は適当にニュース記事を見るくらいで気になったら以下のようなソースで深く調べるくらいで十分だと思います。

github

https://github.com/bitcoin/bitcoin

まずは実際にコードが公開・実装されるgithub。issuesやpull requestsを見ると稀によく理解していない人の疑問がかかれいてその回答が非常に参考になる・・・ということもあるのですが、大半は(一見)重要ではないものなので、実際は他のサイトのソース元として引用されているときや、新しいクライアントが出た際の変更履歴に貼られているリンクを見るくらいです。

メーリングリスト

https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/bitcoin-dev/

今後のビットコインに関する提案やそれに対する議論が行われている場です。BIPが作成される際は必ずここのメーリングリストに投稿され、議論された後番号が割り当てられます。

すべて読んでいると時間がいくらあっても足りないので、これも実際には時間がある時に面白そうな内容を見たり、他のサイトからのリンクで見るぐらいです。

IRC

https://botbot.me/freenode/bitcoin-core-dev/

毎週IRCで定例のミーティングが行れています。日本時間の深夜なので、アジア圏に住んでいる開発者はどうしても参加しにくく、一部の主要な開発者のみで議論が行われています。生ログを見ると頻繁に略語が使われたりして分かりにくいことが多いので、最近更新されていないようですが、以下のまとめを見るのがお勧めです。

https://bitcoincore.org/en/meetings/

SNSなど

古くはbitcointalk、最近はredditやtwitter、あるいはQ&A形式のstackexchangeなどがあります。これらのサイトでは書き込む敷居が低いせいもあって質の低い不正確な情報もあったりするので、githubとかメーリングリストとか他のところでもそうなんですが特に投稿者を見ることが重要です。個人的にはコア開発者とか一部の人間しかほぼ信用してません。開発者の中でもその論理飛躍しすぎじゃない?とかUnlimited憎し?でちょっと極端だな・・・とかいう投稿もあったりするのでいろんな人の投稿を見て判断するのが良いと思います。

twitterをやっている開発者もいますが、文字数制限があったり、前後の文脈が非常にわかりづらかったりして、議論をしたり技術的な内容を話すのには向いておらず、ほぼ見てません。

まとめ

ということで、普段はニュースサイトの見出しやらで概要を理解して深く知りたい内容だけ、上の4つで調べる・・・という感じになっています。たまにこのブログのように技術的な内容をまとめた記事もあって最初のとっかかりとしては非常に助かるのですが、できれば結局ソース元を見るのが早いし間違えも少ないことが多いです。

アルトコイン

では、アルトコインはどうなの?というと、やっぱり人が少ないという影響が最も大きいせいか、情報量が少なく深く知るのは大変です。アルトコインの記事を書く際にはどうしても公式が発信している内容をそのまままとめて翻訳するみたいな感じになっています。

例えばある程度ちゃんと書かれているホワイトペーパーを読んでいても、細かい部分で疑問が生まれたりして、運よくフォーラムに同じ疑問が書かれているという場合以外、それを解決する手段がコードを読んで理解するかslackで直接開発者に聞く・・・とかしかありません。

一つのコインだけ調べるならそれでもいいのですが、何十となると正直そこまでやってられませんし、アルトコインのうちどれが優れてるの?と聞かれてもすべてのコインについて深いところまで理解できていないので、分かりませんとしか言えません。

ビットコインと違って柔軟に変更がしやすいアルトコインはいろいろ技術的に面白い内容も多く好きなのですが、情報収集のしやすさという点では、やはりビットコインが圧倒的だと感じます。

価格よりも技術が面白い

ということでビットコインを投資・投機で楽しむだけではなく技術面も楽しんでみてはどうでしょうか。

価格を気にし始めると常に最新の情報を追わなければならず、しかもその情報も真偽があやしい・・・。規制問題でいろいろとニュースが今も流れているようですが、中国・韓国当局の動きなんて取材しないとわからないし取材しても正確には全貌は分からないのでは?と思って自分は結果が見えてくるまで噂話はほとんどスルーしています。

対して技術的な内容はほぼすべてが無料でオープンになっていますし、好きな時にマイペースに調べることができます。

皆さんもニュースで消耗せず技術を楽しんでみてはいかがでしょうか。