ビットコインの情報サイトの運営者ブログ

サイトには掲載していない仮想通貨に関する時事的な情報や個人的な感想など。中級者以上向け。

WavesはNxt1.0からどう変わるのか

Waves関連記事第二弾。このブログの最初の記事では、WavesはNxtのコピー+αであると簡単に説明を済ませてしまったわけですが、もう少し+αの部分を掘り下げて書いてみたいと思います。なお、既にブロックチェーンは稼働していますが、予定より開始時期を早めた影響で分散型取引所など中心的な機能もまだ未稼働なアルファ版の状態であり、以下の内容のほとんどはあくまで今後の予定となっています。

法定通貨のサポート

Wavesでは、ブロックチェーン上でUSDなどの法定通貨を扱えるようにすることを大きな売りにしています。詳細な仕組みはまだ明らかになっていませんが、この法定通貨トークンはIOUの形式であり第三者が交換を保証します。つまり、RippleのIOUやOpenLedger(BitShares)のIOU、あるいはTetherUSDなどと同じように特定の企業・団体がブロックチェーン上の法定通貨トークンと現実の通貨を交換してくれることになります。

先日の記事でも書いたように、IOUというのはある団体が「1トークンを現実の1USDと交換します」と宣言してトークン発行するだけで簡単に誰でも発行できるので、技術的には非常に簡単に導入できるものです。IOUには発行者の倒産リスクなどがありますが、そのようなリスクのない分散型の価格連動型トークンの仕組みを実現するには非常に複雑で難しく、価格連動が保てないリスクも存在するので、一見IOU形式よりも優れているように見えますが単純にどちらが良いとは言えません。実際に先日はNuBits(=1USD)という価格連動型通貨が1NuBits=1USDを保てなくなり価格崩壊を起こすという事件もありました。このような分散型の価格連動トークンの取り組みはそもそも数が少なく、NuBits以外にはBitShares上のSmartCoin(bitUSDなど)ぐらいしかなく実現が難しいことがわかります。

Nxt1.0にもユーザー(Coinomat、Wavesの創設者)が発行したNXTUSD(旧CoinoUSD)という1NXTUSD=1USDのIOU型トークンは存在しますが、Wavesでは全面的に法定通貨を開発チームがサポートということになります。

アセット(トークン)間の分散型取引

Nxtには分散型取引所が取引所が実装されていますが、その取引は基軸通貨のNXT-アセット間に限られています。Wavesではアセット-アセット間の取引ができるようになります。また、手数料を基軸通貨のWavesだけではなくアセットでも支払えるようにする予定ともしており、Nxtよりもトークン関連にさらに力を入れるようです。

評価システムの導入

これも詳細な仕様は不明ですが、トークン・アセット発行者に評価システムを導入することで、ユーザーが信頼できるトークンかどうかを見極める参考になる仕組みを導入するようです。

クライアント・ウォレットの違い

Nxtではユーザーがブロックチェーンすべてをダウンロードするフルノードを使用するのが一般的ですが、Wavesではすべてをダウンロードしない軽量型クライアントを使うのが基本となります。

また、軽量型クライアントはJavascript+HTML5で書かれており、ブラウザ上でhtmlファイルを開くことによってウォレットを開くことになります。クライアント・ウォレットはGoogle Chromeのプラグインとしてもリリースされています。更新の手間などを考えると、Chromeのプラグインを利用するのが一番基本となるでしょう。

ちなみにJavaで書かれているNxtやNEMなどはJavaのランタイムを各ユーザーがインストールする必要があるので、WavesはJavascript+HTMLの軽量クライアントにすることにより、一般ユーザーの導入のハードルを下げたと言えます。

Proof of Stakeの改善

WavesではNxtと同じ純粋な100%Proof of Stakeを導入しています。Proof of Stakeにおけるハッシュパワー・採掘マシンはコインそのものです。Wavesでは、軽量型クライアントを使用する一般ユーザーが、採掘を行うユーザーに対してコイン、つまり採掘マシンを貸与できる仕組みを今後導入するようです。

初期のコイン配布(ICO)

NxtのICOの参加者はわずか73人という非常に少ない人数でしたが、WavesのICO参加者は5790人という人数になりました。NxtもWavesもすべてのコインがブロックチェーンの稼働時に発行され、ICO参加者に分配されました。Proof of Stakeは保有しているコイン数がハッシュパワー・採掘マシンそのものになるので、保有者の人数が偏るということはマイニングの集中化と同じようにセキュリティ問題にもなります。

この点でWavesはより平等で優れた配布ができたと言えるでしょう。

逆にNxtと同じ部分は?

仕様や仕組みは異なりますが、コアな機能はほとんどすべてがNxtにも既に実装されています。例えば、分散型取引所、トークン・アセット発行、匿名送金、投票機能、メッセージ送信機能などです。Proof of Stakeも少なくとも現時点ではNxtと全く同じものです。

今後の予定

14日に予定通りフルノードのコードは取引所に既に引き渡されているらしく、あとは取引所側の対応待ちでまもなくトレード可能となる見込みのようです。

Waves自体はまだ分散型取引所さえ未実装でWAVESの送受信ぐらいしかできません。気長に見守っていきましょう。