当ブログでは、MistやらMyEtherWalletやらイーサリアム用のウォレットについて、触れてきましたが、最近のアップデートによりMyEtherWalletはかなり進化しており、機能的にはMistと変わらないレベルになっています。
回しものではありませんが、今のイーサリアムウォレット(PC用に限る)のおすすめは公式のMist(Ethereum Wallet)ではなくずばりMyEtherWalletであると断言して簡単に説明を書いていきます。
インストール方法
前に少し触れましたが、やはりmyetherwallet.comにアクセスするのではなくソースコードをダウンロードして実行するのが良いと思います。
GitHub - kvhnuke/etherwallet at gh-pages
最近できたのか見落としていただけか分かりませんが、上のリンクから画面右部の緑ボタン「Clone or download」→「Download ZIP」を選択することにより、必要なファイルだけをまとめてダウンロードできます。(前の記事で紹介したときはChrome拡張機能版など不必要なソースコードも同時にダウンロードするものでした。)
使い方はビットコインなどに触れたことがあれば恐らく直観的に分かると思うので、申し訳ないですが省略します。
Mistとココが変わらない
必ずしもMyEtherWalletの使用をおすすめできなかったのは、単純にMistを使わなければならない場面が多く存在したのも大きい理由の一つです。現在ではそういう場面はほとんどなくなった気がします。
①日本語対応
最近のアップデートで日本語対応しました。index.htmlを開いて右上から選択できます(初期状態は「English」)。英語が苦手な人でも使えるようになりました。
②独自トークンが使える
Mistと同様にEthereum上で作成されたトークンを自由に表示・送信できるようになりました。「Send Tokens(トークン送出)」タブからアカウントを開いた後、「Custom」欄を選択しコントラクトアドレスなどを指定することで、トークンを自由に追加できます。
例えば、前はDAOやDigixなどごく一部を除いては、ICOで購入したりして入手した様々なトークンを表示するにはMistを利用しなければなりませんでしたが、現在ではMyEtherWalletで扱えます。
③スマートコントラクトを実行できる
「Deploy Contract(コントラクトをデプロイ)」タブからスマートコントラクトコードを実行(ネットワークに送信)できるようになりました。現実問題、一般ユーザーが利用することはほとんどないと思われますが、これで実質的にMistと遜色ないレベルになったと言えます。
ただし、コードを書いたりはできないので、スマートコントラクト関係をいじろうと思うと、MyEtherWalletでは微妙かもしれません。
Mistよりココが優れている
①生の秘密鍵をバックアップできる
ウォレットを作成すると、暗号化されたKeystore/JSONファイル以外にも生の秘密鍵が表示されます。普段使いは暗号化されたKeystore/JSONファイルのほうが良いでしょうが、緊急時のバックアップの際などは生の秘密鍵を紙ベースなどで保存していると何かと安心です。
秘密鍵が晒されるということである意味弱点にもなり得ますが、紛失リスクと盗難リスクを天秤にかけた場合、個人的には概して利点と言えるのではないかと思います。(ちゃんとリスクは理解して使いましょう。)
②オフライン取引ができる(コールドストレージとして利用できる)
MyEtherWalletでは「Send Offline(オフライン送出)」タブから、取引をオフライン環境下のPCで作成した後、オンライン環境のPCに移してネットワークに送信できます。通常のユーザーはほとんどこの機能を使うことはないでしょうが、うまく使えばMistより安全に使用することも可能です。
③同期を行う必要がない
ある意味ここが最大の利点です。ウェブ上から直接利用しようが、ローカルにダウンロードして利用しようが、膨大なブロックチェーンをダウンロードする必要がありません。しかし、外部サーバーなどに頼るということも意味するので、セキュリティ的には微妙かもしれません。
Mistは何がいい?
ではMistは何が良いのでしょうか?
1)公式ソフトである
最大の利点その1。開発者は名の知れた人で関わっている人数自体も多いです。MyEtherWalletはオープンソースですし、すでに公開から1年以上経っておりかなり多くの人が使っているので、実用には問題ないレベルだと思いますが、信頼性の面で大きく負けます。
2)ブロックチェーンをダウンロードする
最大の利点その2。外部に頼らず自前でブロックチェーンをダウンロードするのは、やはり安心できますしセキュリティ的に考えても良いです。ただし、利便性はもちろんセキュリティを考える上でも様々な要素がありますし、ウォレットファイルの紛失リスク、破損リスクなども考慮すると、ビットコインウォレットとしてBitcoin Coreをおすすめしないように玄人を除いてはMistもやはりあまりおすすめはできません。
3)DAppsブラウザとして
混同されて使われていますが、正確に言えば、実はMistはDApps(分散型アプリケーション)ブラウザのことであり、ウォレット自体はEthereum Walletという名称です。(Ethereum Walletという名称が一般的すぎて固有名詞とわかりづらいので、ここでは分かりやすくするため逆に混同して使っています。)
MistのGithubのダウンロードページを見てもEthereum WalletとMistで分かれてると思います。現時点では残念ながらまともに使えるDAppsは皆無ですし、MistにもEthereum Walletが内蔵されているので、どっちをダウンロードしても対して変わらないのですが、将来的にDAppsがリリースされるようになったら単なるウォレット用途ではなくDAppsブラウザとしてMistを使う場面も来るかもしれません。
まとめ
MyEtherWalletで作成できるKeystore/JSON形式のウォレットは公式ウォレットMist(Ethereum Wallet)にも対応しており簡単にインポート可能で、MyEtherWalletで作成したアカウントでトークンやらを受け取ってもなんとかなります。もしかしたら、Mistを使用しなければならない場面がくるかもしれませんが、迷った時はとりあえずはMyEtherWalletを試してみてはいかがでしょうか。